洋画家 妃香利 - Hikari

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クサカベ新工場 落成式

あけましておめでとうございます。
年明け早々バタバタとしており、更新が遅くなってしまいました。

今年は本厄なので厄払いも早々に済ませたのですが、さっそく風邪でダウンしたりと。。
なんとも切ない幕開けでしたが、2015年は色々と落ち着いて慎重に
あまり無理をしすぎず頑張りたいと思います。。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

さて、今回は12月17日に駆けつけましたクサカベさんの新工場 落成式の様子をご報告したいと思います。

新工場の2階にはワークショーップなどを行える大きな部屋が作られ、落成式はそちらの
部屋で行われました。広々とした水場やツルツルとした床など、絵具を使う上での様々な配慮が
感じられました。こちらでワークショップや講習会などを積極的に行っていく予定だそうです。
また、外部の方にもワークショップ等でぜひ使ってもらいたいとのことでした。

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社長の挨拶では「決して景気が良いわけではありません。ですが、クサカベは本気です!」と仰っていました。昨今、絵を描く人たちが減り続けていて、美大も画材メーカーもかなり苦しい状態だそうです。美大を出てもほとんどの若者が別の仕事につき、10年以内に筆を置いてしまうのだとか。
私もなにかしら、夢を与えられるような仕事ができたらと思います。

ワークショップルームの前には、以前クサカベの甲賀社長とお話した際にうかがった、
カンボジアの子供達の作品が展示されていました。

ある日本人女性の方が2008年にカンボジア”ジェムリアップ”に設立した、子供達を対象とした小さな美術スクールがあります。クサカベは、そのスクールへ自社の水彩絵具「アキーラ(水性アルキド樹脂絵具)」を供給するほか、子供達が描いた作品を展示販売し、その売上をスクールの運営費へと還元するなどの支援を行っているそうです。

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子供達の描いた作品を見ていると、蓮の花を描いている子が多いことに気づきました。
現地の気候や風景が頭の中に浮かんでくるような、とても色彩豊かで素敵な作品ばかりでした。
以前からカンボジアという国へ一度行ってみたいと思っていたのですが、現地の子供達の絵を見て
ますます行きたくなってしまいました。蓮の花も日本で見るのとまた違った趣があるんでしょうね。。

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いよいよ今月末から、埼玉新聞さんにて「絵具メーカー”クサカベ” × 洋画家 妃香利」の全7回にわたる連載がスタートします!こちらの活動日記でも記事をご紹介したいと思いますので、お楽しみに^^
これまでの活動日記を読んでいただくと、記事の内容もより一層たのしんで頂けるかと思います。

株式会社クサカベHP
▶http://www.kusakabe-enogu.co.jp/index.html

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クサカベ誕生秘話 〜薬剤師が生み出した油絵具〜

今回は、クサカベ油絵具がどのように誕生したのかご紹介いたします。(以下、抜粋)
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1900年、もともとクサカベの創業者 日下部信一は薬剤師として
神田小川町に薬局(日下部薬局)を営んでいました。

ある日、近くの学校教諭から毒劇物の顔料も扱える「日下部薬局」へ
油絵具の製造が依頼され、手練りで作り始めたのがきっかけとなり
“クサカベ油絵具”が誕生しました。(当時、毒劇物を扱えるのは薬局だけだったそうです)

しかし、薬のことは判っても絵具の事となると良くわからなかったため、
絵具に詳しい画家から指導を受けつつ、研究・製造をすすめました。

やがてそれが口コミで評判となり、手練りでは間に合わなくなったため
1928年、クサカベ油絵具製造所が設立されました。

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開発の方曰く、昔から絵具はどこの国でも使い手の画家と相談しながら、
一緒に作りあげていくものなのだそうです。そのため、絵具会社は決して
ひとりよがりではいけない。と仰っていました。

また、作品は決して絵具だけでは成り立たないため、根本は変えずに
作家さんの作風に寄せて使って欲しい、とも仰っていました。

絵具会社の歴史や、絵具づくりに携わってきた人達の思いを想像し、
今の時代に生き、絵を描く者として、自分にできることは何なのか。
自分にしかできないことは何なのか。
改めて考え直す機会となりました。

次回は、12月17日に行われたクサカベ新工場 落成披露パーティーの様子をご報告いたします!

株式会社クサカベHP
▶http://www.kusakabe-enogu.co.jp/index.html

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クサカベ工場見学3 〜色のチェックと出荷されるまで〜

 さて、つづいて案内されたのは、色のチェックを行う部屋です。
丹念に練られた絵具の色がきちんと基準値通りになっているか確認します。

 チェック待ちの絵具がずらりと棚に並んでいます。写真右は、クサカベ創業時から受け継がれている基準色、いわゆるマスター絵具。できたばかりの絵具と比較し、同じ色になっているか審査します。

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 基本的に色のチェックは目視確認だそうです。マスター絵具と出来たばかりの絵具を紙パレットの上に並べて出し、ナイフでうすーくのばして確認します。目視確認後、機械でもチェックします。(写真右上)
「彩度」「明るさ」「色相」等さまざまな面から審査し、基準値から外れた場合は、もう一度ローラー室にて濃度調整などを行いながら練り直すそうです。

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 こちらは顔料の粒子などがきちんと潰されているか確認する道具です。真ん中にある溝に角度がついていて、そこに絵具を擦り込みヘラのようなものでならします。その途中で引っ掛かりがあれば、顔料の粒子が残っているということなので、もう一度練り直しになります。

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 色の審査が完了したら、いよいよ絵具をチューブに入れていく作業になります。
こちらは絵具をチューブに入れる機械(写真左)と、絵具が注入される前のチューブ(写真右)。
パイプのようなところにこのチューブを逆さに入れ、上から絵具を注入するそうです。

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 絵具を入れたチューブのお尻を折り畳む作業のみを担当する機械もあり、油絵具と水彩絵具では折り方が違うそうです(知らなかった!)

 こちらは絵具の入ったチューブにラベルを貼る機械。ラベルを巻くステップと、のり付けするステップに分かれています。1枚1枚、手際よく巻いています。。なんだか機械が生き物のように見えます。。

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 最後はチューブの正確な位置にきちんとラベルが貼られているか人の目で1本1本確認。

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 こちらが出来上がった商品。その後、専用の小箱に1本1本つめて出荷されます。

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 さて、ここまで約1時間ほどの工場見学でしたが、1色の絵具がここまで辿りつくのに、なんと約1ヶ月もかかるそうです!1色つくるのに、ものすごく時間がかかるんですね。クサカベさんは油絵具だけでも4種類出していて、その種類によっても絵具を練る時間や寝かせる熟成時間が異なるので、もっともっと長い時間を要する絵具もあるのだそうです。

【サブ知識】水彩絵具と油絵具ってどう違うの??という質問をされることがありますが、そもそも色の大元となる顔料(色の粉)は水彩絵具も油絵具もアクリル絵具もテンペラも同じ物になります。それでは、なにが違うのかというと、その顔料を練っているもの(展色材)がそれぞれ異なります。写真をご覧頂くと分かりますが、水彩絵具はアラビアガム、アクリル絵具はアクリルエマルジョン、テンペラは卵黄+酢(水)、油絵具は乾性油(リンシードオイル)で練られています。そのため、油で練られている油絵具を水で湿らせた筆で描いたら分離してしまいます。なので、油絵を描く時は水ではなく、油で溶きながら描いていくということですね。

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次回は、いよいよ”ミノー油絵具”で描いた作品をご紹介いたします!

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クサカベ工場見学  その2「顔料(色の粉)が絵具になるまで」

 さて、続いて案内されたのはミキサー室です。
前回ご紹介した”分散材”と、色の大元となる”顔料”をミキサーと呼ばれる機械でペースト状に混ぜ合わせていきます。

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 左側のおおきな機械がミキサーで、その下に右側の大きな釜?をセットし、その中に顔料や分散材などを入れてグルグルとかき回していきます。そもそもは、絵具を混ぜ合わせる用の機械ではなく、やはり食品工場などで使う用のものらしいです。笑

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 こちらはちょうど、近くでミキサーにかけられていた水彩絵具になる前段階のもの。色味的に「カドミウムイエロー」あたりでしょうか。。なんだかカボチャのスープのようで美味しそう。。

 続いては、ローラー室。
ここで、体質顔料などを混ぜ合わせながら色の濃度調整などを行い、顔料の粒子を細かく細かくつぶしていくそうです。1色あたりかなりの時間(2〜3日)を費やし、よーく、よーく練るのだそうです。

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 ローラー室には6台くらいのローラーが有り、それぞれで別の色を作っています。
職人さんが付きっきりで作業しており、何をしているのかというと、ローラーの端っこから出て来た絵具を鉄のヘラ(お好み焼のヘラみたいなもの)ですくい、またローラーの中に戻すという作業をしています。ローラーの真ん中の部分で練られたものだけを絵具として使用するためのだそうです!

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 真剣な眼差しで黙々と腕をを動かす職人さん達。そのヘラさばきは、まさに職人業!
まったく無駄な動きがありません。シャカ!シャカシャカ!と、ヘラの擦れる音が鳴り響きます。

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 こちらが出来上がって来た絵具。

なんだかチョコレートのようで・・・とても綺麗でした。
(なんでも食べ物に見えてしまう。。)

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 その後、数日間じっくりと寝かします。

 こんなに大量の絵具を扱っているのに、ミキサー室・ローラー室ともに、とても綺麗だなと思いました。
床や機械などについてしまった絵具はすぐに拭き取るように徹底しており、1日の仕事が終わると、だいたい30分〜1時間くらいかけて、機械のお掃除をするらしいです。素晴らしい!見習わなければ。。







つづく・・・次回は色のチェックと出荷されるまでの行程をご紹介します。

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クサカベ工場見学 その1「色をつくる=錬金術」

 先日、クサカベさんの絵具を製造している工場見学へ行って来ました。

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 工場に入るなり、油絵具の匂いが・・・
ダメな人もいるようですが、私にとっては懐かしさを感じる、なんとも落ち着く匂いです。。

 さて、最初に案内されたのは、油絵具の中に入っている“分散材”というもの作る場所でした。
“分散材”とは、油絵具を構成する材料(絵具の色を出す元となる顔料や、顔料と一緒に練りこむ乾性油、補助剤)が分離しないようにする安定剤だそうです。

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 大量の茶色い液体の中に白いツブツブしたものが入っています。こちらが“分散材”の原料となる“乾性油(リンシードオイル)”“ステアリン酸”だそうです。こちら本来、揚げ物をする用のマシンだそうです。よく見るとたしかに・・・。そして右の写真が出来上がった“分散材”です。固そうに見えますが、ナイフですくってもらうと意外にトロトロっとしていてカスタードクリームのようでした。缶の中にどっぷり。
 
 ここで、先ほど出てきた油絵具を構成する材料(色のもととなる“顔料”“乾性油”)についてもお話をうかがってきたのでご紹介します。

【油絵具の顔料について】
 顔料とは絵具の色を作り出している、いわゆる色の粉です。昔々は天然の鉱石や土、昆虫などを粉末にして原料にしたそうですが、今は技術が発達してほとんどが合成顔料だそうです。合成顔料といっても、海底で自然にできる鉄などを高温で焼き、鮮やかなブルーの顔料を作ったりもするんだそうですよ。そう考えると合成と言えど天然もの?な気もします。その他にも理科の実験のように薬品同士で化学反応を起こさせることによって顔料が出来たり。「色をつくる=錬金術」なんですよと仰っていました。

 海底で自然にできる鉄でブルーの色を錬金術で作る!なんだかとても “神秘的” に感じました。ゴッホや昔の画家達が生きた時代と比べ、今の絵具は同じ色でも安価でかなり高性能(色の安定性や耐久面などが優れている)そうです。車の塗料なんかも同じ顔料を使っているそうですよ。車の色は色あせたりしませんよね?と言われ、確かに!と納得してしまいました。身近な素材を使って説明していただくと、急に親近感がわいてとても分かりやすかったです。

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 左の写真が海底で自然にできるという希少金属(別名:レアメタル)の一種「金属コバルト」。それを1000度以上の高温で焼くと右写真の “青い粉(顔料)” ができあがるそうです。これが絵具になると「コバルトブルー」という色名になります。



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 ちなみに、こちらが絵具になった状態。左が「コバルトブルーディープ」右が「コバルトブルーライト」。微妙に色が違うの分かりますか?今回、開発の方にうかがい初めて知ったのですが、同名色の「ディープ」「ライト」の違いは、暗い・明るいかの違いではなく、ライトの方が “黄色味が強い” という意味なんだそうです。なので、カドミウムグリーンディープ・ライトや、ウルトラマリンディープ・ライトなどをイエロー系の絵具と混ぜて使う際は「ディープ」ではなく「ライト」の方と混ぜると、相性が良く色が濁りづらいそうです。その他、ディープやライトの記載がない色でも、青みよりの黄色とか、赤みよりの黄色など、持っている色の要素がいくつかあるので、それを考えながら混色すると良いとアドバイスいただきました。これ、意外と知らない方多いのでは?と思いました。ぜひ絵具を混ぜる際に参考にしてみてください。



【乾性油について】
 乾性油は空気中の酸素と化学反応を起こして固まる油です。油絵はこの乾性油樹木の脂を調合した“ペインティングオイル” と油絵具を混ぜ合わせながら描いていきます。水彩絵具のようにドライヤーや扇風機をあてても乾かないのは、水のように蒸発して乾燥するわけではなく、その空気中の酸素との化学反応に長い時間がかかるためなんですね。







つづく・・・次回は顔料(色の粉)が絵具になるまでの行程をご紹介します。

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紫陽花

今年の目標のひとつに「野外取材にできるだけ行くこと」というのがあります。

毎月、取材スケジュールを組み天気予報とにらめっこです。
さいきんは天気がコロコロと変わるので、麦わら帽子をかぶって
でかけたはずが、途中で豪雨に見舞われることもしばしば。。

そんな日は銭湯につかって帰ります。

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ピンクの紫陽花がすきです

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虞美人草

昭和記念公園へ取材に行って来ました。

今回の目的はシャーレーポピー。
さすがにこの暑さの中、東京ドーム40個分の奥地へと
歩いて行く気にはなれず、今回はパークトレインに乗りました。
(着くまでにバテてしまうので。。)

恥ずかしながら、ひなげしとポピーが同じ花だと初めて知りました。。
真っ赤な絨毯を目の前にし、夏目漱石が小説のタイトルにも使用している
「虞美人草」という呼び名が個人的にはしっくりくるなと思いました。

平日に行ったこともあり人が少なく、
久しぶりにじっくりと現場スケッチが出来ました。

次回の個展では風景の中に季節の花をたくさん取り入れる予定なので、
名前の由来や花言葉、俳句や短歌など、その花にまつわるエピソードなどを
調べたりして、作品のイメージを膨らませています。

虞美人草
スケッチ画材:パステル

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活動日記スタート

ホームページを開設して1年が過ぎました。
来年の春に都内百貨店での初の個展が決まり、良い機会なので活動日記を始めてみることにしました。
あまり文章をまめに書くことは得意でないのですが、ゆるゆる続けられたらと思います。

第1回目は取材について。
私は主に風景を描いているので、よく屋外へ取材に行きます。
取材するぞ!と意気込んで出かける時もありますが、いつどんな場面に遭遇するかわからないので、
その他の用事で外出する時もいちおうカメラは持ち歩き、常にネタ探しをしています。

最近はiPhoneのカメラもかなりよく撮れるので、状況に応じてデジカメと使い分けたりしています。
夜の風景や暗い場所でiPhoneは手ぶれせず撮ってくれるのでとても助かるのですが、
微妙な色味をとらえたりズームしたりするにはやはり弱いですね。

とはいってもコンパクトで持ち歩きにも便利ですし、ちょっとした記念撮影なんかには十分なので、
デジカメが売れなくなってきているというのも何だか分かる気がします。