街はすっかりお正月の雰囲気となり今年のカレンダーも残り一日となりました。

 最近よく「今年はどんな年でしたか?」と聞かれることが多いのですが、飛び交う情報や世の中の変化に適応するのに必死な反面、心はいつも冷静であったような気もいたします。限られた条件の中で「いま自分にできることだけを精一杯やればいい」という前向きだけれど少し諦めも入ったような気持ちと、「今こそ絵画は本領を発揮する時だ」と芸術の力をどこか信じ続ける自分がいました。

 個人的な話になりますが、15年ほど前に絵画を学び始めた頃の私は、幼少期から続いていた家庭内不和就職氷河期の影響で精神的にかなり磨り減っていました。そんな中、アルバイトの隙間時間に通いはじめた絵画教室でデッサンをする時間は唯一、無になれる時間でした。しばらくして、わずかな貯金を握りしめ一週間ほどパリに行き、本場の西洋絵画を見て回りました。大ホールのような美術館の中で過去の巨匠たちの作品と向き合っていると、目に見えない力が心の足かせをはずしてくれたような…すさんでいた心が浄化されていくような…何とも言えない清々しさを感じ、ずっとここにいたいと思いました。そんな経験もあり、私はどこか芸術に対する絶対的な信頼感みたいなものを抱いています。言葉は発しなくとも、一枚の絵が人の心を救ってくれることもあるのだと。10代の頃に家の事情で一度は断念した絵画の道でしたが、少し遠回りをしながらも沢山の出会いとご縁に恵まれ、ここまで続けてくることができました。様々な面でお力添えいただいた皆様、作品とご縁を結んでくださった皆様に改めて御礼申し上げます。本当にありがとうございました。今思えば、遠回りした道のりこそが私に多くの学びや経験を与え、成長させてくれた財産なのだと実感しております。
 今年で画業10周年という節目を迎え、来年は充電期間をいただく予定ですが水面下での新作づくりやオーダー作品の制作は引き続き行っております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 2021年のカレンダーは、これまで制作した作品(旧作・新作含め)様々なシリーズをお楽しみいただけるよう絵柄をセレクトいたしました。 皆様の日常に寄り添い、毎日をほんの少しでも前向きに過ごすお力添えができましたら幸いです。カレンダーの原画はまだ手元にあるものもございます。お家で過ごす時間が多くなりましたので、気になる作品などございましたらお気軽にお問い合わせくださいませ。

 年末年始は大寒波とのことですので、どうぞ暖かくして良きお年をお迎えください。2021年、皆様が穏やかな御心でお過ごしいただけますよう心よりお祈りしております 。

                          2020年12月31日  洋画家 妃香利(大原 妃香利)

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